卒業生へ「贈る言葉」@静岡県立浜松西高卒業式

祝辞

２４７名の卒業生の皆さん、
ご卒業おめでとうございます。

私も今から３２年前の１９９０年に
この学び舎を卒業した同窓生です。
本日は、皆さんの先輩として、
そしてＰＴＡ会長として保護者を代表し、
一言挨拶をさせていただきます。

コロナ・パンデミックによる影響で、
皆さんの高校生活は制限が多く、
何かと大変だったと思います。

本校は ２年後の２０２４年に創立百周年を迎えますが、
創立した１９２４年当時は、
日本でも大流行した「スペインかぜ」と呼ばれる
世界的な感染症が終息した頃でした。
百年前も、世界は関わり合いを持ち、
互いに影響し合いながら動いていたということです。

私は今、ベトナムの食材を輸入する会社を行っています。
日本に住むベトナム人は十年前に５万人でしたが、
今や９倍の４５万人になりました。
私の会社では今、ベトナム人社員の採用活動を行っています。
面接相手はベトナムにいますが、
ＺＯＯＭなどを使えば、
いつでも面接ができる世の中です。
面接でベトナムの若者たちは
しっかりとした日本語で受け答えをします。
「私の会社で働きたい」という熱意あふれる作文も書き、
日本語の文章もとても上手です。
日本で働きたい、成功したい、という強い意志を感じます。
そして、実際に採用されると
彼ら、彼女たちは非常に勤勉に働きます。
私はふと、日本の若者たちに
このようなひたむきさや情熱や、
海外に飛び出そうという気概があるだろうかと考えることがあります。

今、世界の教育機関で日本語を学んでいる人は３８５万人いるそうです。
中国、インドネシア、ベトナムといった国の人たちが
一生懸命に日本語や日本文化を勉強しています。
ところが、私たちはそういった国々の言語や文化・歴史について
あまりよく知らないというのが実情ではないでしょうか。

今まで皆さんの多くは受験のための勉強を頑張ってきたと思います。
これからは、本校で学んだことを基礎として、
日本について、世界について自ら学んでいってほしいと思います。
今はインターネットを通して、
刻々と移り変わる世界の情勢を知ることができます。
ＬＩＮＥやフェイスブック、ワッツアップなどのＳＮＳを使って、
世界の人々とリアルタイムに話をすること、つながることもできます。

明けない夜はありません。
皆さんが自由に海外に出かけてゆける日はもうすぐ来ます。
パンデミックが終わったら、
どんどん海外に旅に出かけてください。
私は皆さんが世界の若者たちと結びつき、
若者らしい感性で互いに理解し合い、協力し合える
新しい平和な世界を作るリーダーになることを期待しています。

保護者の皆さま、
本日は大切なお子様のご卒業、誠におめでとうございます。
これまで、本校ＰＴＡ活動に多大なるご協力、ご理解を賜り、
本当にありがとうございました。
今後も引き続き、ご支援、ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

教職員の皆さま、コロナ禍の中での教育活動は
通常よりも一層のご苦労があったものと拝察いたします。
生徒たちがたくましく成長し巣立つことができるのも
先生方のご指導、ご支援のお陰です。
保護者を代表して心より感謝とお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。

最後に、卒業生の皆さんの明るい未来と
世界中のパンデミックの一日も早い収束、
戦争がない世界をお祈りし、お祝いの挨拶とさせていただきます。
本日は誠におめでとうございます。

令和４年３月１日
静岡県立浜松西高等学校・同中等部
ＰＴＡ会長 佐野 憲