2012年12月10日 22:00
天竜の山は、奈良県吉野地方、三重県尾鷲地方と並んで、日本三大人工美林のひとつに数えられています。林野面積は86,200ヘクタールあり、そのうち人工林が55,000ヘクタールと実に81%を占めています。人工林の大半はスギ・ヒノキです。
つまり天竜美林は、人々によって植樹され、心のこもった丁寧な手入れを受けながら、永い歴史のなかで築かれたものなのです。
先人たちが育てた木々は、私たち遠州地方の最大の財産です。にもかかわらず、私たちはこれを生かし切っていると言えるのでしょうか。
町が天竜材を使えば、山は元気になります。人工林は、密植して間伐するという独特の循環システムを持ち、植え付け本数と間伐をコントロールすることで維持されています。
樹木の骨格を決めるのは、天空に伸びようとする木の持つ本能と、周囲の樹木との競争との結果です。下刈り、除伐、蔓切り、枝打ち、間伐といった細やかな人間の手入れなくしては、人工林は環境を保つことができません。
森林は、洪水や土砂崩れなどの災害を防ぎ、渇水を緩和する機能をも持っています。また人工林は、災害防止に役立つだけでなく、森林の再生・循環のプロセスを通じて二酸化炭素を吸収し、問題とされる地球温暖化防止にも高い効果を発揮します。
森林は、地上資源であり、太陽が輝き、人間の手入れさえ行き届いていれば、永遠に再生してくれます。このためには、下流域の町の家に天竜の木を用い、山と町が一緒になって環境を守る意志を持つことが大切なのです。
すぐ近くに天竜の山々があることが、遠州人の最大のつよみです。