日本は「デジタル・バングラデシュ」から何を学べるか@中日新聞「静岡発こう読む」

トッティ

2019年11月24日 23:31

今朝の中日新聞・朝刊
コラム「静岡発こう読む」を寄稿させていただきました。


(*本画像の掲載に当たり、著作権者である中日新聞社様のご承諾を得ております。)

タイトルは「デジタル・バングラデシュ」

同国は
IT/AI での産業創出、人材育成、国力強化を「国策」に掲げ、
数年前からこの取り組みを行っています。


今回、「デジタル・バングラデシュの現場」を見て来ましたので、
もはやIT後進国の日本がこの国から学ぶべき点は何なのか、まとめました。

アジアでも最貧国の一つ、バングラデシュ、ダッカにやって来た。

交通インフラは未整備のまま、
クルマとバス、バイクにリキシャ (人力車) が不規則に交通渋滞を引き起こすこのカオス (混沌感) は
まさに新興アジア独特の空気、雰囲気そのものだ。

今回の出張目的は、
同国が数年前から進める国策「デジタル・バングラデシュ」のリアルを見て、感じるためだ。
端的に言えば、
IT人材の育成を強化し、
全国民のITリテラシーを向上させ、
IT産業で世界を引っ張るバングラデシュを目指す、
というのが「デジタル・バングラデシュ」の最大目的だ。

僕たちは今、世界同時に進行している「第四次産業革命」の時代を生きている。
多くの世界の国々がこのデジタル分野での成長を国の骨太政策に明確に掲げ、
国際競争力ある人材育成に力を入れている。

しかし、我が国の骨太政策にその内容はなく、
掲げた「Society5.0」もまさに残念すぎる内容で、
日本の失われた30年はこの先もさらに続いてゆくことであろう。

僕は、ダッカ市内にある私立ウットラ大学のコンピュータサイエンス学部を見学、学部長たちと意見交換を行った。
当然、教室には 1人 1台パソコンが設置され、実戦さながらのウェブプログラミングなどを学んでいる。
この国では毎年 4万人のIT人材が輩出されていると言われる。
約1.6億人の人口を誇る同国と比べ、わが国は一体どうだろうか。

そして、もう一つ、オランダの会社・自治体の案件、仕事をバリバリこなすIT会社を見学した。
ある一定の高等教育を受けたバングラの若者は普通に英語をペラペラに喋る。
インターネットの仕事現場では、英語とスカイプなどのテレビ会議システムを使い、
国境を超えた仕事の発注、受注が普通に行われている。
そしてこうした優秀なIT人材は国境を超えて、世界各地で仕事をする。
こんなことはもはや今の時代、常識だ。

日本の地域・地方の一番の課題は「人材育成」なのに、
とりわけ「IT人材の育成」なのに、国は未だこの課題に向き合っていない。

僕もバングラの子たちと一緒に仕事をしたいと思った。

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