日本競馬界において唯一無比の最高峰レースが「日本ダービー」だ。
日本競馬界はこのレースのために全てが回っていると言って間違いない。
もう何十年ぶりに東京競馬場に足を運び、「日本ダービー」を楽しんだ。
この「ダービーデイ」特有のこの雰囲気は一体何だろう。
ここに集まった約12万人の観客全員にとっても「ダービー」は本当に特別なのだ。
「競馬」は実は「農業」でもある。
日本の競走馬のほとんど全てが北海道で生産されている。
競走馬生産が盛んな日高地方を訪れてみると、
「競馬が農業だ」という現実を目の当たりにする。
競走馬の生産界においても牧場の高齢化の問題はのしかかり、
年々生産牧場の数は減少傾向にある。
そして、社台グループなど大型牧場による席巻は益々と進んでおり、
もはや中小・零細牧場にとって「ダービー」は出場自体が高嶺の花なのだ。
「ダービー」の出馬表を見ているだけでその行間から様々な思いを想像することができる。
そして今年勝ったのはワグネリアンと福永祐一騎手。
祐一君、本当におめでとう。
彼の父は福永洋一さん。
「天才ジョッキー」として活躍した洋一さんは
皐月賞、桜花賞、菊花賞、天皇賞と勝ったのに「ダービー」だけは勝てず、
不運な落馬事故により引退を余儀なくされた。
しかし全ての「ジョッキー」にとっても夢は1つしかないのだ。
「ダービージョッキーになること」だ。
洋一さんの夢を受け継いだ祐一ジョッキーは過去18回ダービーに挑戦し、
毎回勝てなかった。
今回が19回目のダービーだった。
前走の皐月賞では1番人気ながらも7着に敗れ、
今回は人気を落としていた。
しかもほぼ大外の17番枠。
祐一君は開き直って思い切った騎乗ができたと思う。
観衆の多くが「馬券」は外していたのに誰もが祐一君を祝福していた。
毎年ダービーは最高のレースになる。
今年もやっぱりダービーは最高だった。